2010-01-01から1年間の記事一覧

大晦日の風景

この小さな宿は天神さんのすぐ近く。大晦日から正月三が日は様々な露店がにぎやかだ。コンビニが雨後のタケノコのようにあっちこっちに出店し24時間営業を競う近ごろでは、露店商売も簡単ではなさそう。若い衆の手間仕事のような露店はまったく見向きもさ…

旅する学び

短大で観光を教えている。で、この11月、12月は可能な限り学生と旅に出た。論理的に証明できるほど有能ではない。しかし、短大という限られた世界で教える座学に比べ、旅に出て「引き寄せる世界」はそれがたとえ正規授業の中に位置付けた「有用」であっ…

優しかった高知

お世話になっている毎日新聞の取材で高知市と土佐久礼に行った。今回はいつものおっさんコンビではなく、うら若き女性記者との2人旅。現地では「もうひとつの旅クラブ」というNPO法人の活動で、数年前まで大阪の街を歩きに歩いた仲の「O女史」にナビゲ…

ポールスミスの財布

南久宝寺通り。鬼籍に入った横山ノックさんが参議院議員になった丁度その頃までは繊維系を中心に卸問屋が軒を連ね、大阪ならではの猥雑さを醸した。この「船場」の隅っこには、いまも僅かにその時代の人いきれが感じられる商店がある。それが好きで再々この…

甲子園ボウル

甲子園の土を削り、この日のためだけに内野フィールドにも芝生が貼られた。外野の芝生部分だけを使う異形を改めた今年の甲子園ボウルは、ホームからバックスクリーン方向にゲームが展開され、これまでと違い、とても見やすく楽しめるスタンドとなっていた。…

あぁ〜、保冷剤のような・・

大阪の今日の明け方はこの冬一番の冷え込み、初氷に初霜をみた。前にも書いたが、こうなるとコンクリート打ちっぱなし・壁式工法の本領発揮。壁全体がまるで保冷剤のような役割を果たす。蓄熱飽和量を超えた際の真夏もそこそこだが、あっちはクーラーをギン…

JR大阪駅の大屋根

高い高い新東京タワー・東京スカイツリーの話題性と比較すれば低すぎるか? しかし、JR大阪駅のホーム全体を覆う見事な大屋根がほぼ完成し、ド迫力で壮観だ。惜しむなくはこの会社の閉鎖的な体質が影響してか、この大屋根の壮観さをメディア全体で広域発信…

瀧川鯉昇さんと権威について語る

落語についての知識はない。ただ、家の真向かいに繁昌亭ができて四年、何やら奇妙なご縁が出来た方もいる。江戸落語の実力派と評判の高い瀧川鯉昇(たきがわ・りしょう)さんもその一人。鯉昇さん、半年に一度程度は大阪・繁昌亭の高座にもやってくる。本日…

職人さんの誠実さ

「たぶん日本一小さな宿」も12月で17年目に入った。残念なことに新築工事をしてくれた工務店は完成後5年ほどで消滅した。だから、その後のメンテナンスは自力で業者さんを探し、えっちらおっちらとやりくりしている。10年前、コンクリート打ちっ放ぱ…

通信販売の不思議

ちかごろの新聞広告は保険と旅行と通信販売が幅を利かしている。一昔前に見られた消費生活の見本市のような、ありとあらゆる分野の新聞広告は姿を消した。「ありとあらゆるもの」が、ネット系の告知へと移っていったからだ。新聞広告とりわけ、見れば見るほ…

国って、何?

10代の頃、自我の確立は国籍への悩みと同義語だった。答えのない議論に疲れ果てることで「答え」とした。男友達とも、恋愛でも。齢を重ね疲れ果てる議論に逃げる術をおぼえた。だが、けっして「答え」を見たわけではない。小学校に上がる前、八尾のおばあ…

錦秋の京都

京都は強い!! 春爛漫のころ。ゴールデンウィーク。祇園祭・・。そして錦秋の京都。京都の宿はいち早く埋まる。京都とはおよそイメージが異なるような“京都”であっても、京都市内であれば、この季節の京都の宿はいち早く埋まる。それに、NHK大河ドラマが…

観光立国の恥部

時と場合、場所と雰囲気が備わっていればけっして嫌いではない。だが、旅そのものを楽しんでいる真っ最中に突然飛び込んできたら強い嫌悪感だけが残る。ホテル備え付けのスケベビデオのことだ。今年「この地域」では、大きな観光イベントが開催されていた。…

兼高かおる世界の旅

トラベルジャーナルという旅行業界専門のプロ向け週刊誌(書店では買えない)の取材を受けた。名前だけは知っていた。同じ旅行業界といっても、あちらは超メジャー。こちらは超マイナー、しかもささやかな宿から見た「針の穴」。役に立つんやろか? と、心配…

大阪とメルボルン

LCCのジェットスターが就航する前からオーストラリアからの客人は多い。その多さは、観光という括りを超え「地域間交流」という視点で語るべき幅の広さをもつ。たとえば、ネーティブの英語先生として日本に着任中。その休暇で関西を旅しているという客人…

ユリカモメ

初恋適齢期、就職適齢期、結婚適齢期、ダイエット適齢期、老眼鏡適齢期、引退適齢期・・ 人生にはなんやかやと適齢期らしきものがつきまとう。別段意識しなくても、あとから考えてみれば「あぁ〜、あのころが」と、納得することが多い。しかし、こんな適齢期…

あぁ〜、チケットぴあ

桂南光さんをお迎えしての落語会を開催することは9/11のこのブログに書いた。いよいよ今週の日曜日11/7がその日だ。この日を迎えるにあたって、学生らとプレスリリースに出かけ(この落語会は、短大で「観光によるビジネス世界」を教える小生ゼミの…

小さなビルから個性が見える

森ビルというごっつい会社が東京にある。10年ほど前、この会社のトップが「都心部の小規模なペンシルビルは、土地利用の効率が悪く社会悪だ」と、のたまった。こっちとら(突然、しゃべれもしない江戸っ子弁で失礼)そのトップがおっしゃる「ペンシルのよ…

タコヤキ・ヨシモト・タイガーズ

16年前、この小さな宿を古今東西初めて取材してくださった新聞記者がいた。が、その記者が発した言葉にカチンときて、「あんたらみたいに、大阪のことを“タコヤキ・ヨシモト・タイガース”だけのように表現し、記事(商売)できたらそんな楽なことおまへん…

オリーブに恩返し

小豆島に井上誠耕園というオリーブ農家がある。社長の井上さんにはオリーブの島・小豆島をさらに進化させたいという夢がある。いや、夢などではなく企業家としての責任ある実証行為といった方がよいのかもしれない。井上さんに出会ったのは、もう10年ほど…

天神橋筋商店街のクジラ

天神橋筋商店街は大阪駅・梅田エリアの一駅東にある。「お手軽観光スポット」としての人気が高く、帝国ホテルを筆頭に数々の宿泊施設もある。ゆえにちかごろは、諸外国からの客人も「そぞろ歩き」を楽しんでいる。その店は天神橋筋商店街の三丁目にあった。…

腹筋運動にはボンバルディア

平成6年9月に関西国際空港がオープンして国際線のすべては伊丹から関空に移った。四捨五入すれば早くも20年。しかし、いまだに「大阪国際空港」という有名無実がまかり通る。国内線専用空港である伊丹の、この「不思議な名称」は旅人にとって迷惑千万! …

「しゃ〜けど」と、歌人に

友人に「Wさん」という歌人がいる。「塚本邦雄が認める弟子だった」と、後に別の歌人から聞かされWさんの歌集を読んだ。その風情は、鮮烈であからさまな描写の反面、独特の生活観や美意識、優しさに包まれている。ただし、一見するだけでは変態のように見…

韓流ブームの外側で

韓流ブームのピークは去ったのだろうか? この新式のブームやテレビドラマの中身のことは全く知らない。ただし、80年代までの韓国映画の陰影[文末・注記参照]と痛みに綴られた「やや重い偏屈」には共感がある。わたしは旧式の人間だ。まったく同じ理由で…

別府・鉄輪温泉に人生の楽園

「人生の楽園」・・土曜日の午後六時、思わず見たくなるテレビ番組。いったいどのようなネットワークがあって見つけてくるのか? 後半生の「真剣なチャレンジ」や「余生のおかしみ」を多種多様に紹介してくれ興味深い。昨年春からほぼ毎月、毎日新聞・夕刊(…

ブログの操作、こまったなぁ〜

8月末からはじめたこのブログ、書きためていた原稿があるわけではなかったが書くことには自分でも意外なほど、こまっていない。しかしブログの操作には、こまったなぁ〜知人の記者からは「もっと見やすくレイアウトを」と、リクエストがあった。知人の先生…

ニッポン最強の駅、極楽橋

南海高野線の終点に、ニッポン最強の駅がある。その名は極楽橋!!絶対幸せになれそうな名前だ。ここからケーブルに乗り換え、弘法大師の開山、高野山に至る。名実ともにニッポン最強の駅、極楽橋である。 ただ、ちょっとだけ残念なことがある。極楽橋からケ…

ランチにチゲ鍋とキムチの大和撫子

北の新地の南西端、サントリー旧本社近くに大きな韓国料理店がある。焼き肉も有名だが、昼のチゲ鍋もうまい。 納豆とニンニクが混ざりあったような匂い、それにコチジャンみその赤、昼食時間店が入っているビル4階のフロアー。そのエレベータを一歩出れば、…

虫籠窓(むしこまど)の集落と大阪〜福岡とのつながり

完全ではない二階のことを「中二階」と言った。その二階部分の窓が、まるで「虫かご」のようにデザインされている。これを虫籠窓(むしこまど)と言う。 この「むしこまど」、地方都市の伝統ある集落に旅すればまだ見かけることもある。しかし都市部で見かけ…

「世界史の中から考える」で考えたちかごろの世相

暑い一日がはじまる朝早く、窓を震わせヘリコプターが舞った。うるさくって目が覚めた。あとから知ったが、その日は郵便不正事件の判決が下りる日で、自宅に近い西天満の裁判所上空、入廷する関係者を待ち構え、何度も何度も旋回するヘリコプターだった。な…