腹筋運動にはボンバルディア

平成6年9月に関西国際空港がオープンして国際線のすべては伊丹から関空に移った。四捨五入すれば早くも20年。しかし、いまだに「大阪国際空港」という有名無実がまかり通る。国内線専用空港である伊丹の、この「不思議な名称」は旅人にとって迷惑千万! 過去10年で2組ほど「おっちょこちょいな外国人」が、関空と伊丹を間違えて伊丹に行ってしまったことがある。30年も前、ニューアークとラガーディア、JFKの三つの空港の区別がつかず、言葉もままならず、ボクはニューヨークで「おっちょこちょいな外人」になった。おっちょこちょい仲間、関空と伊丹を間違えた旅人が気の毒で笑うに笑えなかった。まっ、それはそれとして・・

この間、飛び交う旅客機にも移り変わりがあった。大阪都心で暮らしていると、伊丹に降りてゆく飛行機に愛着がわく。夕刻、大川(旧淀川)の源八橋付近で南東方向の空を眺めると、伊丹に向け着陸態勢に入った飛行機が次々降りてくる。大阪城天守閣のずっと向こうから識別用のライトがぐんぐん近づく。着陸のピーク時にはライトの光が順番に並び、ぶつかるのが心配で、「大丈夫か〜?」と、空にめがけて声をかけたくなるほど次々降りてくる。関空が出来る前は愛称も機体も「ジャンボ」、どでかいボーイング747が多く壮観だったが、その姿はすでに消えた。ちかごろは、ひと回り、ふた回り小さなジェットで迫力はない。

川辺のベンチで腕立て伏せと腹筋50回、腹筋しながら空を見上げ飛行機を眺めると気持ちいい。壮観さはなくなったが、不思議な「呼吸」で迫ってくる飛行機がある。プロペラ機のボンバルディアだ。この飛行機は故障の多さでも有名・・で、実際に乗っても表現困難な「わくわく感」におそわれる不思議な飛行機だ。プロペラ機は高度が低い、ボンバルディアはみるみる降下してくる。だから小さいのに大きく見える。着陸直前、急な風の強弱はすぐに「機体のフラフラ感」になって現れる。老朽化し引退したが、同じプロペラ機でも国産の名機YS−11はポッテリどっしり安心感があったなぁ〜

この付近は、大川がワンド状になっていてルアーキャスティングの練習にもうってつけのポイント、やんちゃ坊主たちも多い。そんなすぐ横に、ボクの腹筋運動用のベンチがある。風が強かったある日の夕刻、ボンバルディアが連発でやってきて「わくわく、フラフラ」の連発、見とれた。そこに、やんちゃ坊主の「へたくそなルアー」が飛んできて腹の上に落ちた。ポッテリとしたルアーがYS−11のように見えた。