通信販売の不思議

ちかごろの新聞広告は保険と旅行と通信販売が幅を利かしている。一昔前に見られた消費生活の見本市のような、ありとあらゆる分野の新聞広告は姿を消した。「ありとあらゆるもの」が、ネット系の告知へと移っていったからだ。

新聞広告とりわけ、見れば見るほど不思議に思えるのは通信販売系の広告。なかでも健康やこだわり系食品。サプリメントや化粧品の類である。同じような広告デザインで同じようなうたい文句の商品があふれ、うたい文句を見ても何がよくて、どっちがホンモノか区別するのが困難だ。

聞くところによれば、これら通信販売を指南するコンサルタントビジネスが流行っているという。手元に資本があり、少々のヤル気があれば、商品分野を選択しコンサルタントの指南に従って新聞各紙に広告、売りまくるらしい。こうなると、どこそこの「こだわり商品」も、やや怪しい。つまり、「どこそこ」は新聞広告の上にしかなく、その「どこそこ」には、ささやかな会社しか存在していない・・ことも多いのだという。

新聞広告の量そのものが格段に減少し、掲載料が驚くほど安くなった。全国紙の一面に載せるには有名な大手広告代理店にお願いし、デザインと共に目の玉が飛び出るような広告費用を負担しなければならなかった。おまけに新聞社の公序良俗のチェックにひっかかれば、お金を出しても「掲載不可」ということまであった。つい10年まではそれがあたり前。

しかし、画一的デザインで面白味に欠ける通販広告にも、おもしろい楽しみ方があるようだ。広告に掲載されている住所に出向くと「何と出会うのか?」を「確認する旅」だという。「これは!」っと、思える通販広告の商品を見つけると、商品を発注する前にわざわざ出かけ、その商品の質を、その会社の「人相」で確認するのだという。

通販で高額商品を購入する層はお金も暇もあるのだろうが、貧乏ヒマなしにはとても理解できない旅だ。だが確かに怖いもの見たさの未知との遭遇という点では、リアリティの高い「ぶっつけ本番の旅」だ。笑福亭鶴瓶さんの「家族に乾杯」よりも「ぶっつけ本場」度が高いのかもしれない。わくわく感はお金では買えないからなぁ〜