職人さんの誠実さ

「たぶん日本一小さな宿」も12月で17年目に入った。残念なことに新築工事をしてくれた工務店は完成後5年ほどで消滅した。だから、その後のメンテナンスは自力で業者さんを探し、えっちらおっちらとやりくりしている。10年前、コンクリート打ちっ放ぱなしの屋根と壁が調子悪く(ありていに表現すれば雨漏り・・)、修理してくれる先を捜す過程でとても誠実な業者さんに出会った。その名をT工房という。

元々は、防水処理など屋根上の仕事が専門の職人会社だったらしい。その屋根上の知識と技術を生かし、最近では太陽熱発電の工事で有名・優良な施工会社となっている。

その、しょぼこい雨漏り工事をお願いした10年前からのお付き合い。その後も、物干し場の設置とかモロモロ相談に乗ってもらっている。ここの工務主任のKさんは誠実を絵にかいたような方で、この方に相談すれば「不要は不要」「必要は必要」と、損得抜き、親身になってアドバイスしてくれ本当に頼りになる。ちょっとおっちょこちょいな所もあるが、それも魅力・・

寒くなってきた。またも「しょぼこい相談事」、この種の相談は何故か冬場に発生する。T工房に電話してみた。すると「今日は休み」とのこと。翌週また電話してみた。事務員さんは言いにくそうに、また「今日も休んでます」と。あのまじめなKさんに限ってそんなはずはない。ピンときた。「入院ですか?」・・この齢になるとピンとくる。「で、病名は?」

事務員さんは言いにくそうだった・・。ボクは再度、ひつこく聞いた。心配だった「で、病名は?・・」・・しばし沈黙の時間が流れ、しばらくして事務員さんが重い口を開いた・・「屋根からの落下、骨折です」と。

そういえばKさん。「低い屋根からの方が落ちやすい。油断するから・・」と、言ってたことがある。あと一週間は入院、その後ひと月はコルセット生活が続くらしい。さらに聞いてみた「その屋根、高かったんですか? 低かったんですか?」 事務員さん曰く「とても低かったようです」

あぁ〜、やっぱり。低くとも油断禁物屋根の上・・Kさんの快癒を祈って!!