続/秘境・大阪のたのしみ方(その3)

2千円の自由席に着席した。ふたつ席が空いて隣はベッカム(本当!)に似た男前の白人青年。その隣は日本人のおじさん・・さっきから、ベッカム似の青年に、やや怪しげな英語を駆使して大相撲の解説がにぎやか、さすがは秘境・大阪

何気なく聞いていたら、そのベッカム似の青年はイングランドからの本格的な相撲ファンらしかった。熱心に取り組み表(外国からのお客さんには、英語で記された相撲全般の解説ブックと簡単な取り組み表が全員に配布される)と土俵をあっち見、こっち見している。その間にも、おじさんの怪しげな相撲解説が入るので、たいへん忙しそうだ。しきりに相槌を打ちつつ観戦している様子が、ほほ笑ましい

15時を回ったころ・・すらっとした長身に透きとおるような色白、長髪で美しい20才中ごろの女性が一人、私の横に・・「ココ空いてますか」とゼスチャーで座ろうとした・・おっとと、こんな美人に真横に座られては、気になって相撲観戦どころではなくなる。あわてて、私の前をスルーさせ、二つ空いているベッカム青年の隣に誘導

それを見た、おじさん。さらにハッスル・ヒートアップ。怪しげな英語の解説は全開。と、その女性、「どこから来ましたか」の質問に「エストニア」と、来たもんだ! そう! 大関把瑠都(バルト)の故郷・・さあ、たいへんだ!!

その色白が、大関把瑠都(バルト)にそっくりなので、ただただ感心するばかり。この付近はさらににぎやか度が増してきた。と、と、と、そこにどこかで聞き覚えのある大きな声・・あっ! 落語家の桂文福さんや・・向こうの方で大声「豊真将」とか、「豪栄道」とか叫んでる。

とにかくよく突き抜ける大声に驚くベッカム君とエストニア美人。バッチリ目があってしまった。ボクは、怪しげな英語も話せない。流暢な大阪弁しか話せない・・そんなことは無視するように取り組みが進むごとに桂文福さんの、とにかくよく突き抜ける大声は威勢を増す。館内全体に響き渡る。その度に、ベッカム君とエストニア美人の疑問げな顔が増幅する。おじさんは落語には明るくないようで、文福さんを知らない。

疑問げな顔は、こちらに向かってきた・・拙宅、大阪もんのこの宿は、天満天神繁昌亭のまん前、桂文福さんを知らないはずがない。顔見知りである・・「彼は、落語家デス」・・遂に、流暢な大阪弁ベッカム君とエストニア美人に解説せざるを得なくなった。秘境・大阪の本領発揮・・明日につづく

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