29800円の海外旅行 その11

大量消費の社会構造をどのように維持し、さらに大量消費を促すか。強者がさらに強くなるトリックのような世界システムが構築されて久しいが、国や境遇が違えば人間も生まれたその時点から経済格差がある。世界を均等に豊かに、平等に、というグローバリズムの考えは正しいようで、なんだか怪しい。

たった4日間の格安ツアーの中国で感じたことは、近代資本主義のなれの果て、現在進行形の袋小路の最前線「ドンづまりの博物館」を見ているような不気味さだった。物質文明の「豊かさによる貧困」と、それとは真逆の「質素な微笑み」が隣合わせで同居していたからだ。そうでなくても日本は、3.11の大震災被害と原発の人災で「豊かさの意味」を問う時代に至っている。モノに頼んだ「豊かさ」など、よっぽど鈍感な人でない限り、もう信じない。

環太平洋の主だった国々は保護主義に陥るのではなく、「ほぼ例外なき新しい自由貿易の枠組み」で、国家を超えたな経済活動(TPP)にいそしみ、豊かさを求めよ! と、いまアメリカはリーマンショック以来、首が回らなくなった自国の経済を何とかしようとモーレツだ。(古いな〜 ohモーレツ!)

アメリカからの客人(ペンションに宿泊した、在NY歴20年のリピーター)の話によれば、仕事もお金もないのにカードローンを次から次から組めるので、家もモノもアホほど買ってしまうアメリカ人のスカタンを、つぶさに聞いたことがある。にわかに信じられないその異常な「消費行動」は、もはや経済概念上の「消費」とはいえず、「狂気の社会」そのものだった。それが、リーマンショックが起こる丁度1年前に聞いたアメリカの「豊かさ」の本質だった。上海近郊のいたる所で見た、入居者が見えない超高層マンションの完成済物件も、このアメリカの「豊かさ」と同根のものだろう。

身の丈以上のものはいらない。中国の「いまどきの豊かさ」や「アメリカの無責任な消費経済」に感じる正直な感想だが、どういうわけか、このTPPに関し「これからの日本に不可欠な経済協定」とのメディア報道が大多数だ。「日本に不可欠?」本当かなぁ〜

中近東に占めるアメリカと、東シナ海を占めようとするいまどきの中国。その似通った覇権構造に「豊かさ」のスカタンがよぎった。上海地下鉄の中国人乗客は、大阪地下鉄の大阪人よりよっぽど疲れていて、目力が失せているように見えた。気のせいかなぁ〜