中之島バラ園が満開

諸外国のローズガーデンと見比べるとまったく大した規模ではないが、大阪都心の中之島バラ園が満開だ。ほんの数年前まではこのバラ園のトイレは驚くほど汚く、信じられないことに男女兼用。世界の主要都市にある都心の公園でも屈指の「みじめさ」だった。

そこで当時、私たち何人かで活動していた「もうひとつの旅クラブ」というNPO法人が、その(昔の)バラ園を主舞台としたイベントを企画した、名付けて「中之島舟屋プロジェクト」。約一ヵ月間このバラ園で様々な「観光ベースの仕掛け」を試みた。ささやかではあったが人気を博した。

この一ヶ月の期間中、旧バラ園を訪れた人たちにアンケートを試みた。かなり精密なアンケートだったが、NPOスタッフの情熱から多くの意見聴取を見た。その内容の代表的なものは、やはり「トイレをきれいに」との内容が圧倒的であった。いま風には「トイレの神様」を大切に!!

さらに、水辺との視界を遮っていた「柳の木は無い方がよい」とか「売店がバリアーになり水辺を見通せない」とかの意見も多くあった。そのアンケート結果のほとんどすべてが生かされて、いま「新しいバラ園」がある。

ところがひとつ残念なこともある。新しくなったバラ園内のバーベーキュー屋さんが、その新しくなったバラ園の北側の水辺を完全に占有し、一部はサービスヤードとして「水辺のデッキ」を「物置化」していることだ。これはおそらく大阪市の公園部局の管理が、曖昧なために起こっているのだろうが、せっかくバラ園全体の水辺がデッキ上で回遊できる動線設計がなされ、人気を博しているのに残念なことだ。

「曖昧」が、ほどよい空間を構成してくれる場合もあるが、都心の公園では、それらが増幅して命取りとなることもある。これは、当時の公園管理者らも認めていた「都心での公園管理の端緒」である。バーべキュー屋さんの商売も「公園管理あってのものだね」のようにも思える。

バラの香りに誘われて、ついついそんな時代のやり取りを思い返してしまったオッサンでした。