ちんどん屋さんとチアガール

野球場でスキーのジャンプ。庭先の海でクジラの水族館。古城の中にエレベーター。などなど、ありえない組み合わせを実行するにはそれなりの勇気と創造力が必要だ。主催者や事業主は「ありきたりの成功」を好みリスクを嫌う。ありえない組み合わせで、もし失敗したら責任を追うのが怖い、からだ。

散り果てた桜、この小さな宿のすぐ近く中之島公園をぶらぶら散歩。な、な、なんだこの人出は? アマチュア写真家のイベントで美人のモデルがポーズをとっている。まぁ、ありきたりの風景。スルー

お・お・おっと、お次はなんだ? ちんどん屋さんにチアガールや! チアガールの学生たちを背景にちんどん屋さんの「あのメロディー」。驚くべきけったいな光景を多くのアマチュアカメラマンが必死で撮影してる。青空と芝生と川面の爽快に、チアガールとちんどん屋さんがコラボでモデル。ものすごい光景や。天神橋の上も鈴なりの見物客。

カネに糸目をつけず、大小のイベントに「無用な規模」を追い求めた時代がつい先ごろまで続いた。しかしちかごろは行政にもカネがない。必然性のない「規模だけのイベント」は皆無となった。一方で、カネはかけずに智恵を絞るイベントは増えた。

ちんどん屋さんにチアガール。意外性があってほほ笑ましく、かといって「宣伝・応援」という共通項でつながりもしている。かたやニッポンの伝統芸。もう一方はアメリカ産。遠目に眺めていると、双方負けていない。おもろい!

このチンドン屋さんには見覚えがある。昭和50年代中ごろ、まだ立命館大学の学生だった彼。大阪駅前ビルの街角でチンドン屋さんを起業した「ちんどん通信社」のリーダーだ。あのころ、ボクもその付近で昼夜兼行でバイトしていたから、よ〜くお見かけした。好きこそものの上手なれ! 成功され有名人となられたが「いまも現役!」立派なチンドン屋さんだ。

野球場にスキー、クジラの水続館はいずれも阪神電鉄が甲子園や甲子園浜で実際に行った昔の大企画。古城のエレベーターは昭和6年、市民の浄財で再建なったいまに続く大阪城。いずれもが「こんなもんでええやん」ではなく「これをやってみよう!」の気概で企画が実行された。

「好きこそものの上手なれ」・・かくありたいと思う。