花見の季節、太陽の季節

ちょうど一年前、この小さな宿に泊まりニッポンを楽しんだご家族がまた来てくださった。ニッポンの原発報道を見て、「旅行中止も考えた」らしいが、予定通り本日無事にチェックインされた。

タイ国からのお客様だ。「チャオプラヤで見たテレビ」に書いた通り、原発事故に関してはタイ国ばかりではなく、日本の情報発信が「あやふや」なことから、ニッポンへの旅をキャンセルする人が後を絶たない。そんな中、ご家族一同で一週間も滞在して頂けることに「ありがたい」と、あたり前のことながら頭が下がる。

大東京のイシハラ都知事は、こんな時に「花見などもってのほか」と、自粛を大々的に奨励されているようだが、いまや海外からのお客様も毎年の「ニッポンの花見」を楽しみに旅する時代だ。宿屋だけではない。被災地・東北の蔵元が「花見をして東北の日本酒を消費してほしい」と切実に発信したように、花見シーズンの大切さは庶民感覚では一般常識だ。花見は紅葉や新緑、雪景色とあわせた「ニッポンの魅力」の代表選手だ。

ニッポンの中心である大東京はもっともっと頑強に、大きな都市に、と都知事選挙の報道。そんなん、いったいナンボかかるん? ナンボ金かけても自然には抗えへん。「想定外」の「外」は、人間の頭の中に芽生える「都合のよい理屈」とネタばれした原発事故。大東京をこれ以上大きくしたら、もっと、もっと原発いるんちゃう? そんなんアカンやん。

太陽の季節より、花見の季節を楽しむ方が未来的に見えてきた。