Gigazine(ギガジン)を読んだ原始人

大阪の都心で、たぶん日本一小さな宿をはじめたのは平成6年(1994年)。その頃の予約は固定電話が主流。いまでこそ信じられないが、「住所不定(いまにしてみれば、あったりまえ!!)」のケータイからの予約は、怪しまれた。同じころ、インターネットという言葉が一般にも普及し始めた。が、メルアドを個人所有する人も限られていた。そんな時代だった。

日立造船のリストラ部門が「マイ・トリップネット(旅の窓)」というベンチャー予約サイトを立ち上げ、その小さな事務所がご近所ということもあり、「提携ホテルになってくれるところが少ないのでどうでっか?」と言われ、「メチャクチャ小さな宿(ペンション)でっけど、よろしおまっか?」と、訳も分からず(いまでは常識の)オンライン。このマイ・トリップネットはその後、楽天に買収され、とてつもないビジネスに。買収先として一番早くに声のかかったJTBは、その時点で今日のネット社会が予測できず(出来ていたのかもしれないが、結果的にギャランティーしなかった)大魚を逃がした。もちろん稚拙な小生も、社会がこうなろうとは想像だにしていなかった。

いまやインターネットは「社会の窓」。弱者と強者をひっくり返しかねない社会基盤(特に、知る権利の類において)。国境概念やコミュティ概念もこれが普及する前と後では大違い。なにせ、先週地球の裏側で暮らしていた人が「ネット一発の予約とやり取り」で、きょうの今ここに、この小さな宿の玄関先に、大きなバケージを足元に、笑顔でたたずんでいる。固定電話だけの時代、こんなことは絶対にあり得なかった。

しかし、ボツボツそのような驚きににも慣れ、「既得権者の“守り”が、このままずっと堅守状態を維持できるのかどうか?」そっちのコトが気になりだした。「世界中の人が繋がった状態でいることのできる地球」のことだ。→「いつも繋がった地球」は、既成の価値観や既得権者の独占をひっくり返してしまう→この十数年間、「宿泊業界」に起こったライブ感は、実は「いつも繋がった地球」その混乱の先取りだった→だとすれば、社会の至る所でボツボツ混乱が。

政治や教育といった最守旧の世界でも、ボツボツそのような事になりつつあるのではないか? 政治は善意の心をシステム化(政策化)できずにいるが、ネット社会の情報交換は、「市民のタイガーマスク」を活性させている。「菅直人さん」をテレビ出演させたニュースステーションは、昔の市民運動家の顔(いまは、国家のトップ)を、今日社会のリアルな市民運動家タイガーマスク)の前に映し出した。結果は無残、そのリアリティのない「昔の市民運動家」は、とんでもない視聴率急降下をもたらした。

この年頭に起こっていることは、本当に象徴的に映る。あ〜わからん。ネット社会はこの先、何をもたらすのか? で、ネットに弱い原始人(小生)は、朝日新聞の書評欄で見た「Gigazine未来への暴言/著者:山崎恵人さん」を読んだ。読んでみてモヤモヤが晴れた。「暴言」と言いつつ、抑制を効かせ、ネット社会を「予言・提言」してくれた。モヤモヤが晴れた。な〜るほど! よ〜わからんけど何とはなしに納得できた。

原始人ただ一つの救いは、この著者、山崎恵人さんが「未来」を紙の活字で紹介し、新聞の書評欄を活用してくれたこと。「原始人も見捨てられていない」・・これって、やっぱり自虐的・・