あこがれのガックリ名所

シンガポールマーライオンコペンハーゲンの入魚姫、ブリュッセルの小便小僧・・聞くところによれば、世界の有名観光地にはこのような「ガックリ名所」があるという。悪口ではない。
聞かされてきた口コミ、写真や映像による空想、あこがれの旅に至る高揚、それらがないまぜになって旅の世界が広がり、頭の中に出来上がっていた自分なりのイメージ。そのイメージと目の前に現れた「実際の物体」との格差、そのギャップが大きければ大きいほど立派な「ガックリ名所」としての名声が高い。
ガックリ名所は成熟した都市に多く、かつ小さい場合が多い。市民に親しまれ時間経過と共に熟成し、物体規模の大小よりも、そのモノが持つ「ものがたり」にこそ価値が見出されているからだ。
大阪の中之島にまた一つ、大切な税金を使いはたしガックリできない、名所になりそこなった、スポットが完成した。
中之島の最東端、通称「剣先」と呼ばれる先っちょに、軍艦の大砲みたいな放水銃が設置された。
一時間にたったの2回。それも各5分間だけ。水圧をためにためたその異様な大砲は放水のアーチをかける。ただし、ちょっとでも風が強くなると「アーチの水が拡散する」との理由で中止される。なんだかよくわからない代物だ。これらの計画にかかわっていた関係者らは、確か「大阪を観光名所にするための大噴水」と、言ってたなぁ〜
世界の有名観光地にあるガックリ名所は写真の写りがよい。しかしこの「大砲のような代物」は、おそろしく収まりが悪い。なかなかアングルが決まらず、必死で待っていても、ちょっとの風で放水は中止となりせっかくの、かすかな観光客も、舌打ちしてUターンする迷所。そんな光景を何度も見た。

  1. 1の投資で2以上の効果を得ることができる⇒ガックリ名所
  2. 10を投資したにもかかわらず、1の効果しか得られない⇒Uターン迷所

あそこにも、ここにもUターン迷所・・そろそろ大阪にも、あこがれのガックリ名所がほしいものだ。