ウミガメを見た

今年三度目の沖縄、ウミガメを見た。沖縄本島の最北、辺戸岬(へどみさき)。風強く波浪もあったが、その日は空気澄み視界よく、鹿児島県の最南端、与論島がよく見えた。
与論はいまから約四十年前、沖縄を旅した際に行き損ねた。だから、その島影を確認した感慨はひとしおだった。目を辺戸岬の直下、すぐ下の海に転じた。小魚が群れをなし、銀鱗がオセロゲームの裏返しみたい一斉に、こんどはこっち次はあっちとキラキラせわしなく反射している。こんなにせわしなく、あっちこっちと繰り返すのは他にも何かいるのかな?
覗きこむ、覗きこむ。目を凝らしていたら、隣で同じように海面を見ていた女性が、美しい沖縄言葉で「ウミガメが!!ほらあそこ!!」と教えてくれた。よくわからない・・「あぁ〜、潜ってしまった」と、ウチナーンチュー。「えっ!?どこどこ」と、旅人(私)これを何度か繰り返す・・と、溺れているんだか、泳いでいるんだか、えぇ〜加減な動きをするカタマリを発見、何かが海から出てきた。「あれでっか」と旅人。「そう、そう、あれ、あれ」と、ウチナー。はじめてみるウミガメ! その見事すぎる、えぇ〜加減な動きに吹き出しそうになった。
動きをいつまでも追った。ユーモアの真理を体現するかのような鈍重な動き。泳いでるのだか?  溺れているのだか?しかし、ふっと我に返った。この泳ぎ、人生最高の身の処し方? 溺れていそうで自分の意思で動てる、しばし見とれ、つくづく思った。あぁ〜、ウミガメに泳ぎ方を教えてほしい、と。浦島太郎の物語も、きっとこれやったんや!何の根拠もなくそう思った。
沖縄の日差しで頭が痛くなってきた、辺戸岬の売店で沖縄名物「冷しぜんざい」をかきこんだ。