旅する学びで考えたこと(その6)

(2)大観光時代と小さな観光
この毎日新聞の連載で筆者が担当した18シリーズ、18地域(この内、大分県豊後大野市については第2回と第22回で2度の取材を試みた)のほぼ半数の地域については、昭和40年代の後半から昭和50年代にかけて、なにがしかの一人旅(筆者10代後半から20代前半にかけて)で訪ねた地域と重複している。その時代からすでに40年前後の時が経過しているので「定点観測」と表現するには、いささか適切さを欠く。また、「観光」の形そのものにもこの間、大きな変化があったので、どの地域のいかなるものも同様、同質に語れるものはない。しかしその一方で、1970年代の世相を反映した当時の「観光の空気」が、いまのこの時代にさえ、人の心の奥底に大きな作用をもたらしていることも見過ごすことのできない大きな事実でもあるように感じられた。

1970年代の一大イベントといえば、その初頭を飾った大阪万博が挙げられる。期間中(70年3月〜9月の約半年間)の入場者は6千4百万人余、月間換算1千万人超、1日あたり換算でも35万人を超える動員力は40年余の時が経過した今日でさえ金字塔と称えられている。さらに、この空前絶後の来訪者を数えた国家的イベントは、この時期の国鉄(当時)に、これを乗り切るための輸送力確保と同時に、これとは真逆の大阪万博終了後の旅客確保という余条件を課していた。これに大きな役割を果たすのが「ディスカバー・ジャパン」のキャッチコピーで展開された一億総観光キャンペーン【※】である。この「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンは、同様もしくは近似的表現で今日いまだに継続されているが、その端緒は1970年から約10年間。大阪万博の記録的大成功の余韻をかった約10年間に集約される高度成長期のフィナーレを飾った「国民総観光」の金字塔でもある。

それはこの間に、新幹線が岡山や博多に延伸開業された時期(72年および75年)と重なり、an・an(70年創刊)やnon−no(71年創刊)による「アンノン族」や、70年代半ばから脱サラ志向によるペンションブームなど、多種多様な観光による社会現象と地域現象を引き起こした。また、女性か男性かの性差をも突破して見せた。なぜなら、それまでの時代には若い男女が同一グループで旅行を、しかも頻繁に企てることなどは不可能であったが、この間にスキーやテニスを合言葉にして男女混交のグループ旅行が社会的に認知され飛躍に伸び、旅行や観光が介在することによる全日本的な合コンが大々的に繰り広げられたのである。また、家族単位や中高年世代が国内外を問わず気軽に旅行するようになってゆくのも、丁度この時代を境に急伸長する。さらに忘れてならないものは、大企業と中小企業の区別なく会社や職場単位で繰り広げられた慰安旅行という旅行形態もが、この時期にピークを迎えたことである。すなわち、1970年代(昭和45年からの10年余り)とは、国内のあらゆる地域と老若男女が分け隔てなく観光に酔った、「大観光時代」であったということだ。

そのような認識に立てば、建物の立て替え更新が顕著に進む大都市よりも、「大観光時代」において、ひと時の繁栄を見た地域や地方をいま新たに、観光という側面から(1970年代と)見比べてみることは、たとえそれが大雑把な記憶との重ね合わせであったとしても、たいへん意味のあることのように思えた。いまどきの東京や大阪の巨大再開発や過大な新ビル群の出現は、たしかに驚きを与えてくれるし目新しさもプレゼントしてくれるが、人の心から記憶というものを抹消させる作用を併せ持っている。他方、地域や地方の観光地のあり様は、目新しさや驚きはないが、記憶を呼び覚まし未来へのメッセージについて覚醒効果が見込める心棒のような気配が込められているのではないか。中国やインド、ベトナムなど、新しい工業国の確かで目覚ましい伸び方は、1960年代から70年代にかけてのこの国の状況にも似通ったところがあるが、21世紀、少子高齢が進む今この国では真似ようがない。これは、「大観光時代」への確かな決別シグナルで、地域や地方が自らの志向性によって切り拓く「小さな観光の時代」が訪れているシグナルでもありそうな気がする。そこには、この国の未来への付託も埋め込まれている。そのように感じられた。
日本一小さな宿・街角のペンションLee http://www11.ocn.ne.jp/~pen-lee/   
The LEE Osaka downtown(大阪のペンション)  http://pension-lee.net/

LEE is located in front of the Sin-do shrine that have one thousand years history. This area is harmonized history and modernity. Beside LEE, there is Japan's longest shopping street. You can understand real Japan after walking this shopping street. There are also four department store and huge electric store, which are typical Japanese shopping scene, near to LEE.

LEE rooms are well ventilated and gets a lot of sunshine, faces on south side. We manage LEE in a family: we provide good security and cleanness. From LEE to nearest station, takes only one minuets on foot, to Kansai International Airport, takes 50 min by bus and Osaka Station 5 min by metro. LEE locates very convenient place, so a lot of people go to one day trip to Himeji Kyoto Kobe or Hiroshima.