旅する学びで考えたこと(その5)

2.見て、聞いて、考えてみよう!  (1)走らなければ分からない「現場を踏む」ということ
適切なテキスト選びは完了したが、高校を卒業してすぐの若者に「観光」というテーマをもって「学び」とするには何かが不足していた。この「不足」については、その時代や社会との、ライブ感を伴った協働行為の中に発祥する「造作」であることは、ほぼ明らかなような気がしていたが、観光を基軸に据えた学びである以上、全国各地いまこの時代の動きの中で何がどのように進化しようとしているのかについて、あらかじめ自らが実際に知っておく必要性を感じた。なるほど、それらは、「ネット情報」という形で毎日膨大に流通しているわけでもあるのだが、しかし、それらの中の少なくない数は「受益者による流通物」で信頼に欠けるものも多い【※】。また、大都市の中の変化は一見激しそうに見えるのだが、その実は、地中深く潜り込み【※】その中に埋もれていることが多く、その変化を感じ取るには、逆に予備的な学習の分量が膨大化する。すなわち、観光の学びの本質からは逸脱したところでの知識の習得を迫られることになる。

毎日新聞・大阪本社の記者とは、その「不足」をどのように補うべきかについて、何度も語りあった。その結果は、いまこの時代の日本各地を「見て、聞いて」から、いま一度「考えてみよう!」というものであった。つまり、座してこれまでの知識の開陳を深めても、IT社会が本格化し、グローバル化や少子高齢社会が到来してしまった日本では、これまでの「経験則」が役に立たないのではないか、という結論だった。そこで、「訪ねたい『旅・まち・発見』」という企画を毎日新聞・大阪本社・夕刊編集室の主筆、「ものがたり観光行動学会」プロディースという形で推し進めることになった。結果的に足掛け3年間もの長きにわたるこの連載の初回は、2009年3月、香川県小豆島町からスタートし、2011年12月の沖縄県竹富町で終わったが、この間、北は北海道から九州・沖縄まで、様々な取材スタイルで各地を巡り、その連載は29のシリーズ、83回を数えた(番外編、3回を含む)。この内、筆者が担当したものは18シリーズ、54回で、最終回の沖縄・竹富島で足掛け3年間にもわたる企画連載を終えるにあたり、(筆者は)次のような一文を書き残した。それはこの取材の全行程を通じて感じられた21世紀初頭のニッポンの痛みのような「原風景」についてであり、若者にとっての今日的な課題がそのまま詰まっているように感じられた「原風景」でもある。すなわち、この連載を終えるにあたり「『不足』の補いは何によるべきか」が、明確に見えたように感じられたのである。以下にその一文と取材の全足跡を記す(◆は筆者が担当したシリーズ)。

「根気と文化の塊」小さな観光続ける:一昔前、リゾートブームの崩壊を経験した日本の観光潮流は、海外旅客頼みの大規模観光と、地域の営みと産業が一対になった「小さな観光」に二極化しつつあるようだ。大規模は「大金」が見え明快。他方、地域産業や文化を身の丈のサイズの小さな観光に育てるには、地域で生活している側に根気がいる。40年ぶりに訪ねた竹富島には昔も今も根気と文化の塊がある。その人間臭さに心が躍り、小さな観光に畏敬した・・。

毎日新聞「訪ねたい『旅・まち・発見』」の全足跡   1)◆小豆島編(香川県)全5回:09年3/30「オリーブ園」 4/6「オリーブ農園」 4/13「尾崎放哉の庵」 4/20「エコツアー」 4/27「ものづくりを見る」   2)◆大分編全7回:09年5/11「フェリーに乗って」 5/18「江戸内の景」 5/25「原尻の滝」 6/1「岡城址とメロディーロード」 6/8「竹田の姫だるま」 6/15「温泉ざんまい」 6/22「湯けむり散歩」   3)京都編全3回:09年6/27「氷室神社」 7/6「氷室跡」 7/13「光悦寺と源光庵」   番外編:09年7/27「ものがたり観光シンポジウム」   4)◆五島列島編(長崎県)全5回:09年8/3「堂崎教会」 8/10「自然満喫コース」 8/17「おいしさ探索」 8/24「茶畑と歌碑」 8/31「ごみ拾いボランティア」   5)甑島編(鹿児島県)全3回:09年9/7「カノコユリと大明神」 9/14「海と若者たち」 9/28「夢あるドクター」   6)◆北海道編全3回:09年10/05「不思議な湖」 10/19「渡辺体験牧場」 10/26「阿寒湖アイヌコタン」   7)◆十津川編(奈良県)全5回:09年11/2「谷瀬のつり橋」 11/9「武蔵地区」 11/16「小辺路」 11/30「玉置山」 12/7「玉置神社」   8)伊勢神宮編全4回:09年12/14「新調の宇治橋」 12/21「五十鈴塾とおかげ参り」 12/28「微古館と農業館」 10年1/4「御塩浜と朝熊山」   9)◆石川編全4回:10年1/18「百年水と加賀魔除虎」 1/25「お茶屋体験」 2/1「座禅体験」 2/8「能州紬」   10)◆宇和島編(愛媛県)全2回:10年2/15「伝統的町家とシラウオ」 2/22「闘牛と段畑」   11)◆沖縄北部編全3回:10年3/1「今帰仁城跡」 3/8「古宇利島」 3/15「伊是名島」   12)◆岡山編全2回:10年3/29「中世夢が原と美星天文台」 4/5「星尾神社と鬼ノ城」   13)近江八幡編(滋賀県)全2回:10年4/26「ヨシの原広がる西の湖畔」 5/10「八幡山近江商人の町並み」   14)◆新潟編全2回:10年5/31「日和山住吉神社と地獄極楽小路」 6/7「金毘羅神社と新潟西港」   番外編:10年6/28「シンポジウム・フジヤマから瀬戸内へ」   番外編:10年7/5「あこがれ・セールトレーニング」   15)福岡編全2回:10年8/2日「姪浜」 8/9「能古島」   16)岩手遠野編全2回:10年8/30「曲がり家とデンデラ野」 9/6「カッパ淵」   17)◆琵琶湖編(滋賀県)全2回:10年10/18「セールボート体験」 11/8「沖島」   18)尾道編(広島県)全2回:10年11/8「お好み焼き紀行」 11/15「同・続編」   19)◆大山編(鳥取県)全2回:10年12/6「妻木晩田遺跡」 12/13「ペンション村」   20)◆高知編全2回:11年1/17「龍馬をゆく」 1/24「カツオの国」   21)津編(三重県)全2回:11年2/14「うなぎ」 2/21「ギョーザ」   22)◆豊後大野編(大分県)全2回:11年5/9「老舗蔵元と絶景」 5/16「伝統芸能と伝説」   23)◆与論島編(鹿児島県)全2回:11年6/6「城跡と民俗村」 6/13「イイムッケーダナと星砂」   24)越前編(福井県)全2回:11年7/4「越前そば」 7/11「ボルガライス」   25)◆山形編全2回:11年8/8「寒河江の種吹きとばし大会とブドウ園」 8/15「芭蕉ゆかりの立石寺」   26)姫路編(兵庫県)全2回:11年9/5「産業観光と昭和の食堂」 9/12「第1発電所&くじゃ焼き」   27)◆福岡編全2回:11年10/17「宗像 沖ノ島信仰の女神を臨む」 10/24「柳川 掘割巡り&有明海の幸」   28)天川村編(奈良県)全2回:11年11/14日「洞川温泉」 11/21「女人禁制の山上ヶ岳」   29)◆竹富島編(沖縄県)全2回:11年12/12「西塘御嶽と安里屋ユンタ」 12/19「二つの文化財と“のはら荘”」
日本一小さな宿・街角のペンションLee http://www11.ocn.ne.jp/~pen-lee/   
The LEE Osaka downtown(大阪のペンション)  http://pension-lee.net/

LEE is located in front of the Sin-do shrine that have one thousand years history. This area is harmonized history and modernity. Beside LEE, there is Japan's longest shopping street. You can understand real Japan after walking this shopping street. There are also four department store and huge electric store, which are typical Japanese shopping scene, near to LEE.

LEE rooms are well ventilated and gets a lot of sunshine, faces on south side. We manage LEE in a family: we provide good security and cleanness. From LEE to nearest station, takes only one minuets on foot, to Kansai International Airport, takes 50 min by bus and Osaka Station 5 min by metro. LEE locates very convenient place, so a lot of people go to one day trip to Himeji Kyoto Kobe or Hiroshima.