旅する学びで考えたこと(その3)

(2)不人気の理由とテキスト選び
今年のNHK大河ドラマ平清盛は視聴率が上がらず史上最低の不人気をかこっているという。その原因については各種報道で明らかとなっているが、視聴者の声は概ね次の2点に集約されている。  ○映像構成において画像を荒く見せる演出が過ぎ、ドラマ全体が荒っぽく汚くみえる。  ○登場人物が多く複雑で頭が混乱し、ストーリーが理解できない。   この2つの理由が「史上最低の視聴率」を招いた一因であることは事実のようだが、もっと本質的な理由が存在しているようにも考えられる。

それは、この国のドラマシーンが韓流ブームの到来以降、恋愛をメインに据えたラブストーリーを起点・はじまりとして、いまでは韓国や中国の歴史的大ドラマ(日本的にはNHK大河ドラマが独占してきたジャンル)が、韓国ばかりか、中国モノに至るまで気軽に視聴できるようになり、大人気を博していることに起因している所にあるように感じる。その攻勢は、文化・観光的な総力的攻勢といってもよいほどの綿密さと魅力、勢いと戦略性にあふれている。また、近年身近に確認できる経済的な出来事でも、象徴的には韓国家電や中国家電が「ニッポンのお家芸」であったはずの、パナソニック、シャープ、ソニーなど、日本の“超優良家電企業”を飲み込んでゆくので、同時進行のライブな感覚が醸成されて、リアル度を増し、「大河ドラマ」を同時進行の二つのドラマとして検証することができる。その迫真の様は迫力が増すばかりだ。

しかしこれらのことは、IT社会の進展とグローバル化が同時進行することによる産業社会の(国家や地域を軽々と越えてゆく)大規模な移行現象として、日本のバブル経済崩壊期と同調する形で世界的な潮流でもあった。すなわち、このような変容は、すでに1990年代に顕著であったが、この文明史的大転換期にあってさえ、日本ではそれらをこのように解釈した。  ○「80年代のバブル経済、その崩壊がもたらした『失われた90年代』」であり   ○「日本固有の問題」である。  しかしこの時期に符合させるかのようにして、隣国の二つの国では、「文化」の日本進出を加速させ、「テレビドラマ」などを親和性の高い急先鋒として、総合的かつ網羅的に対外交流の国策を本格化させ、それを着々と推し進めてきたのである。

このような、観光ビジター(日本人観光客の)の受け入れ策(観光政策)を含めたのダイナミックな国策の成果は、この間の日本の政治状況とも相まって「日本は歴史が動かない国。だから大河ドラマは成立しない」という観念をもたらし、他方、韓国や中国の「それ」は(事の好し悪しは別問題として)「歴史が大きく動いている。こっちの大河ドラマが『本物だ!』」という評価を深化させ、今日の「定着」に至ったのではないか。なぜならば、視聴者層に、その前提条件(大河ドラマが受け入れられるためには、その前提条件として「時代性への合意」や「民族集団的なアイデンティティ」への認知が極めて重要)の棄損が永らく継続している日本では、日曜日の夜、週明けの元気を蓄えて楽しむためのバックボーンが逓減して、その時代・時代の状況を(大河ドラマに載せて)次から次へと見せられても、娯楽である「大河」が、逆にむなしく感じられ、明日への元気が棄損されて陰々滅滅とする。結果的に「視聴者の見る意欲」も著しく低下する。画面の荒々しさやストーリーの難解さは、じつはさほど大きな問題ではなく、もっと本質的な「ニッポンの大河」そのものに夢がもてなくなった。この大河ドラマの歴史的不人気の本質的な原因は、そのような急所の痛み、そう感じられる。

使用するテキスト選びでも、当然そのような視点を外すわけにはいかない。すなわち、今日の歴史的な立ち位置についての証左や確認を怠っていない書きモノであるか否かについての検証である。なぜなら、観光を取り扱った書きモノには、一見「良書」に見えても結果的に、若者には何らの夢や希望をもたらさないばかりか、「諦め」という迷い道・・窮屈な志向へと導きかねない、成功体験を額縁に飾っただけのようなタブロー主義的【※】な迷著が氾濫しているからだ。

例えば、「あの島には、このような名物観光案内人がいる」とか、「あの観光名所では、いまこのような新しい試みがなされ大人気を博している」「この旅館は、こんな挑戦でよみがえった」といった数々の成功体験の網羅である。このような場合、多くは、その成功の歴史や文化的営みを軽んじ「着地型観光」という業界言葉に集約され、紹介される場合が多いのだが、これは近年の雇用環境にも不思議に通底する同根性を備えている。それは、概ね次のような共通した書き出しで対比が可能だ。  ○観光シーン:大量通過型の観光の時代が終焉したので、本物や旬に触れることのできる地方や生活者の「小さな地域価値」を繋ぎ合わせ、観光商品として造成し、このバリエーションを大量に構成し商材の主力に据える−−今日的「着地型観光」の概観     ○雇用シーン:大量画一を一括的に国内製造する大規模工場の時代は(日本では)終焉したが、規模は小さくても状況に応じた労働力は必要となるので、価値の高い緩衝材的労働力を派遣労働などに一群化して、これを制度的に支援し社会的に位置付け労働力の主要な柱とする−−今日的「労働環境の概観」   いま二十歳を迎えようとする若者は、おおよそ90年代初頭の生まれであり、生まれながらにしてこのような空気感と共に育ってきた。観念的には「モノを欲しない若者の時代」であり、「夢を持とうとしない若者の時代【※】」として、一方的に大人が評価している若者世代だが、もう通用しなくなった成功体験を次から次に見せられても、何の役にも立たず、就職にも役立たず、白けるばかりであることが容易に想像される。

そのようなことを総合的に勘案して、使用するテキストは概論系では   ○観光学入門(副題は、ポスト・マス・ツーリズムの観光学)【※】   ○観光振興と魅力あるまちづくり(副題は、地域ツーリズムの展望)【※】   の2冊とした。その理由は、両著ともが「観光」を主眼に置きつつも、「観光」に偏った見方や業界の論理に注意深く対処しつつ、社会全体を俯瞰し「観光」を社会化して位置づけ、良質な社会論としての内容を具備しているからだ。また、奥野卓司の情報社会学系の論【※】なども、短大生にはやや背伸びし過ぎの感はあったが、時代の同時性を共有し、未来への思いを学生と共に考える上で大きな支えとなった。これらに共通するものは、形而上学的な意味においての「考える」という鍛練に対しての備えである。そこでは強者が振り回す、若者を排除するためのレトリックのひとつである「知識」の羅列が、注意深く排除されている。
日本一小さな宿・街角のペンションLee http://www11.ocn.ne.jp/~pen-lee/   
The LEE Osaka downtown(大阪のペンション)  http://pension-lee.net/

LEE is located in front of the Sin-do shrine that have one thousand years history. This area is harmonized history and modernity. Beside LEE, there is Japan's longest shopping street. You can understand real Japan after walking this shopping street. There are also four department store and huge electric store, which are typical Japanese shopping scene, near to LEE.

LEE rooms are well ventilated and gets a lot of sunshine, faces on south side. We manage LEE in a family: we provide good security and cleanness. From LEE to nearest station, takes only one minuets on foot, to Kansai International Airport, takes 50 min by bus and Osaka Station 5 min by metro. LEE locates very convenient place, so a lot of people go to one day trip to Himeji Kyoto Kobe or Hiroshima.